見応え十二分の本局ですが、ハイライトは左図でしょう。残り時間は木村18分、羽生26分。ここで木村八段は1分で▲6八角と打ちましたが、これが敗着。代わりに▲3一角が大逆転を呼び起こすための絶妙手でした。両対局者ともに気づいておらず、木村八段は局後ぼやきが止まりませんでした。
(1)△3一同銀は▲1二龍△同玉▲1三銀以下、(2)△3一同金は▲1二龍△同玉▲2四桂△同歩▲1三金以下の詰みとなります。よって正着は(3)△2二金打なのですが、「いやあ、その金を打つ元気があるか……。金を打つんではちょっと……」(羽生王座)。変化の一例は▲3六桂△2九飛成▲3九桂(△同龍ならば1八香を抜かれない)△1八龍▲1四歩△同龍▲1六歩△同龍▲2七金△1八龍▲6八角△3五香▲1六香△1四歩▲2二角成△同金▲1七金打。
こう進めば先手がよさそうです。両対局者は感想戦でずいぶんと検討していましたが、変化は多岐にわたって、とにかく難しい。しかし実戦的には先手に流れが傾いた可能性が高そうです。本局の詳細につきましてはぜひとも、9月29日から日本経済新聞紙上に連載されます、若島正氏の観戦記をご覧下さい。
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