図の局面で残り時間は▲矢内7分、△甲斐25分。ここで腰を落とした甲斐二段、どう決めるか考えどころです。すぐに目に付く△7六桂は控え室では不人気。考えにくい理由は「余裕がありそうな形勢なので、激しく行きづらい」と棋士間で一致。「悪い局面だったら目をつぶって行っちゃうんだけどね」。複数の手が有力そうに見える局面では、このような実戦心理が勝負を左右する重要な要素となります。
本譜は△8五歩。「こっちからか~。でも、筋だね」(先崎八段)。矢内名人は待望の▲6五歩を突き、最後の直線勝負に賭けます。自身の座右の銘は”戦いは最後の5分間にある”。
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